長兵衛旅館と世界一
連休中に、台風から逃げるように北上し、イチロ(イチローではありませんね、一路です)津軽平野を目指しました。
初日は碇ケ関の古遠部に宿泊です。
碇ケ関とは、青森県の一番と南側で秋田県と隣接する地域です。
古くは、羽州街道の「関所」として知られていました。
(「碇ヶ関の猫柳」もご覧になってくださいね)
今年の3月に初めて碇ヶ関に宿泊したときには、「湯ノ沢温泉郷」のなりやでした。
白濁する、まるでジャガイモのシチューみたいなとろけるような熱湯でした。
浴室のドアを開けると、圧倒的な存在感を放つ温泉が湧出しています。
さて、今回の宿泊した古遠部は、湯ノ沢温泉郷から少し離れた(大体5キロくらい)山の中にありました。
金気臭のあるお湯が、浴槽からこれでもかというほどに、オーバーフローしてジャンジャンと浴槽から流れていきます。
浴室では、洗面器を枕にして まるでトドのようになり、背中で温泉を浴びる?という楽しみ方もできます。
さて、この写真は 長兵衛旅館と世界一のリンゴであります。
碇ヶ関の古遠部の湯治宿に宿泊した翌日は、原始林が広がり、あの「ヤドリギ(桑寄生)」も楽しめる湯段に宿泊です。
2004年10月11日撮影 場所:湯段
湯段は、近くにある嶽温泉とはまったく違って、いかにも鄙びていて寂しい雰囲気です。
商店は一つもなく、ただ湯治宿が4件くらい存在するだけです。
共同浴場などもありません。
そのなかでも、一番鄙びれているかもしれない長兵衛旅館。
本当の「東北湯治場 湯めぐりの旅」でございます。
私にあてがわれたのは、1階の一番と奥の部屋です。
一晩中、大雨が降り、「なんて台風が強いんだろう~」と思って夢の中に突入したわけですが、翌朝に窓ガラスを開けると小さな川が流れていまして、その川の音がうるさかったのでした。
長兵衛旅館 自炊宿泊、3000円を払い、出発しようとすると、長兵衛のおばあちゃん柴田さんがこう言います。
私 「隣の建物は、長兵衛さんのものですか?」
おばあちゃん 「いや、分家です」
おばあちゃん 「長兵衛もすっかりと寂れてしまって……」
いやはや、そんなことはないですぞ。
温泉ファンでも、鄙び系のファンは大勢いますから、これから「東北湯治場 湯めぐり」ツアーで巻き返すかも。。
(長兵衛旅館も、掛け流しでとてもホカホカする良い温泉です)
話は最後になりますが、このリンゴの名前は「世界一」です。
このリンゴは、碇ヶ関から7号線を弘前に向かうところのある地域にある、地元の共同浴場のおばあちゃんから温泉帰りに「山形から来ました」とお風呂のお礼を言ったところ、お土産にもらったものです。
お話を伺うと、もともとは雪を溶かすために井戸を掘ったら温泉が湧き出たこと。
ご主人様が亡くなれて、リンゴの経営も大きくする訳にもいかず、また借金までして温泉経営をしたくない、でも、お湯をそのままにしておくのももったいない、、とのことで、今の状態で運営?しているのだそうです。
リンゴ箱の青いコンテナにお湯が贅沢に掛け流されています。
世界一のリンゴをくれたおばあちゃんの家庭にある温泉は、無色透明の心まで温かくなるようなとっても良い雰囲気のお湯でした。
そのようなわけで、津軽では2人のおばあちゃんとお話をさせて頂いたことが、今回の旅の私の記憶と残りました。
津軽は、いいですぞ。
「土屋薬局 中国漢方通信」もよろしくお願い致します。
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