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2006.06.15

高プロラクチン血症の漢方的な考察。1)気鬱 2)肝火

おはようございます。

土屋です。

今週の火曜日の夜に、テレビ電話での不妊症の子宝漢方の勉強会がありました。

東京と山形や長崎、静岡など全国を結んで、双方向性の勉強会です。

お店にいながらにして勉強できますので、良い時代になったものです。

さて、私たち「百合チーム」の勉強会の今回の進行役は友人のK先生の番でした。

テューターは、陳志清先生です。

今日は、その時の勉強会の私のメモの整頓です。


A子さんの症例


1)プロラクチン↑なのに、排卵が早いのは何故か?

2)基礎体温は、高温期で37度を越え、低温期も36・5度台で、上半身は火照るのに、下半身は冷えるのは何故か?

これがその日のメインテーマです。


A子さんは結婚3年目で、テルロン0・5錠とクロミッドを服用しています。

生理の周期は、24-27日です。

(生理の周期も24日だと短いので、改善したほうがいいですね)


自覚症状は、

寒がり、冷え性、不眠不安、眠りが浅く多夢、生理前に乳房が張る、生理前に頭痛、めまい。ストレスが多く、仕事が忙しい。



プロラクチンは高すぎると排卵を抑制する。


高プロラクチン血症の中医学的な考察。


1)気鬱(きうつ)

このタイプは排卵が遅れることが多い。

つまり月経周期が長めになりやすい。


2)肝火(かんか)

気鬱が長期化すると、気が鬱滞して「熱」になる。

「肝火タイプ」は、排卵が早まりやすい。

ベースの体質的には、血虚(けっきょ)があると肝欝化火(かんうつかか)になりやすい。


化火(かか)を抑制すれば、プロラクチンが下がる。

化火(肝火)の治療はプロラクチンの治療になる。


月経周期が短いこと

1)卵胞の発育↓

2)子宮内膜↓


☆月経のこと

血塊(けっかい)

1)大きい血塊→淤血(おけつ)

2)小さい血塊→気滞(きたい)


☆生理の量が少ないときには、血塊は大きくない。


基礎体温が高いこと

1)陰虚(いんきょ)

2)湿熱(しつねつ)(著者注:血熱(けつねつ)もあります)


☆手足が冷たいのに、のぼせる。クラクラする。

→これらは肝欝気滞(かんうつきたい)


寒がり=陽虚(ようきょ)ではない。

血虚(けっきょ)や気滞(きたい)もある。


血虚の冷え性はたとえて言うと、「暖房の温水が足りない」こと。


このA子さんの基礎体温から分かること。

1)生理期は、排泄不暢(はせつふよう)

2)排卵障害

3)BBTが高いこと→陰虚鬱熱(いんきょうつねつ)


体外受精のときの点鼻→内因性のFSH、LHを抑える。

その後、外因性のHMGの効き目が良くなる。

ロングプロトコール(ロング法)



その日の講義のまとめ


1)気血不足(きけつぶそく)の体質のうえに、ストレスによる肝欝化火(かんうつかか)があった。

ホルモン療法による陰虚火旺(いんきょかおう)が最大のポイント。


2)治療は、補気養血(ほきようけつ)をベースに、疏(清)肝寧心(そかんねいしん)、滋陰降火(じいんこうか)が必要。

月経期は、活血調経(かっけつちょうけい)


3)排卵が早い人は、卵胞期の活血(かっけつ)に気をつける。


4)瀉火補腎丸、加味逍遥散、柴胡加竜骨牡蠣湯、炒麦芽など適用。

帰脾湯は平性。

瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)の知母や黄柏は、心熱(しんねつ)をとっていく。


炒麦芽は周期が長い人に良い。

周期が短い人には、清火(せいか)+炒麦芽


5)その他

夫婦同時服薬、カウンセリング、生活習慣の見直しも必要。睡眠時間、仕事の調整など。



私の意見のまとめ


1)周期が24.25日だと妊娠が難しいので、周期が延長になるように考えていく。

2)基礎体温が高めだと、子宮内膜が熱いので、卵が「サウナ状態」もしくは「半熟卵?」になるので、基礎体温はできるだけ下がるような方向性で漢方を検討する。

3)顔色や唇の色を良くするなど、「美人になる」漢方を。

お肌の色艶が良くなることも重要です。

4)夜の睡眠も大切なので、夢を減らしてグッスリと眠れるように、安神薬が周期の改善とともに必要だと思います。

5)夫婦の足並みを揃えることも大切。


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<6月13日に草津に泊まりました。高砂館の近くにあるお地蔵さん。高砂館に泊まったのですが、地蔵の湯は強酸性なのに肌にまとわりつくやさしい感じで感激しました。私は草津が大好きです>


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<湯畑から上がっていくと神社があり、そこにも やさしい顔のお地蔵さんがいました>


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<「菊に眠り地蔵」 このお地蔵さんの顔が好きです>

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