不妊症の基本検査について
オフィーリアの話の次は、スクーリングの講義録です。
2008年9月7日に、聖路加国際病院婦人科部長の佐藤孝道先生の講義を聞きました。
不妊の定義
一般的な定義:避妊しないで1年間(あるいは2年間)の性交渉がありながら、妊娠することができない場合。
◎より正確な定義:平均的な一般集団と比較して妊娠する能力(fecundability)が低下した状態
不妊期間と年齢で妊娠する可能性が分かる。継続妊娠率。
「不妊の原因」
卵管閉鎖
子宮筋腫
子宮内膜症
内膜ポリープ
頸管粘液不良
性交障害
坑精子坑体
ED
受精障害
無精子症
乏精子無力症
排卵障害
ピックアップ障害
(絶対不妊原因になるものは、卵管閉鎖、性交障害、無精子症、排卵障害)
「女性の不妊原因」
A:排卵障害
○早発閉経
○多嚢胞性卵巣症候群
○視床下部下垂体系の原因
プロラクチン分泌の上昇により無月経もしくは無排卵を起こす。
ストレスでも一過性の上昇がある。
○甲状腺
甲状腺機能低下と機能亢進は、月経不順と排卵障害を引き起こす。
○副腎
クッシング症候群など
B:卵管、子宮、頸管因子
○性感染症は卵管障害の原因になる。
クラミジア感染症は主たる原因
○骨盤手術の既往:卵管障害や癒着の原因になる。子宮頚管の手術は頸管の瘢痕化と短縮をもたらし、まれに頸管の狭窄を起こす。
○不妊手術既往
○頸管粘膜の欠損もしくは機能不全
○子宮内膜症:卵管の変形や癒着による卵管采機能の障害を起こす。
C:薬物
○NSAIDs、とりわけインドメタシンは排卵障害する。
○細胞毒のある化学療法:永続的になるかもしれない卵巣機能不全の原因になる。
○マリファナやコカイン:卵巣機能や卵管の機能を傷害する。
D:そのほかの要因
○職業上のもしくは環境問題:シフト勤務や過剰な肉体労働、殺虫薬、溶媒やホルムアルデヒド
○精神的要因:妊孕性を障害するかもしれないが、研究によってさまざまな結果が得られている。
○全身的な疾患:たとえば甲状腺疾患
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