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2011.09.29

○漢方不妊症専門講座・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)…その2

○漢方不妊症専門講座・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の話の続きです。


2)PCOSで自然妊娠

BMI16とやせタイプ 30代

初潮から20歳後半までは生理不定期

その後45日の生理周期で安定、28歳からは周期50日。

多嚢胞性卵巣症候群と診断される。

LHが高い。

経血量が少ない。

BBTは高くない、排卵日前後おりもの少ない。

舌ベロ 胖嫩 、歯痕、尖紅、苔薄白

中間期出血もみられる。



<漢方処方の考察>


血流たっぷりの養血調経の漢方薬と補中丸を全周期に服用。

卵胞期にはチャガ、血府逐淤丸、杞菊地黄丸など。

高温期には、参馬補腎丸などの漢方薬で補陽していきます。


PCOSは流産しやすいと考えられているので、高温期に次に人参と冬虫夏草製剤(双料参茸丸)と健脾安神(帰脾湯)で安胎効果を強めました。

「未病先防」の観点からです。


31日目で排卵となり、安胎法で無事にご出産に至った症例です。


BBTが低めのときには桂枝茯苓丸という活血化瘀の漢方薬など。

BBTが高めの場合には水快宝などの活血化瘀の漢方。


痰湿をとる処方には、桂枝茯苓丸にチャガを追加。


排卵期には補腎と補血を中心に少し補陽の処方を。


チャガなどの漢方は、痰湿をとる。



<考察>

この方は、

痩せ型(BMI16)

LH>FSH

BBTが低くて卵胞期の体温が安定している。

おりものが少ない。


などがありました。


<南京の周期療法の名医・夏桂成先生の指摘>


PCOSは月経失調、閉経、不妊症にもなる。

腎虚(じんきょ)、脾虚(ひきょ)、肝鬱(かんうつ)、痰湿(たんしつ)、血淤(けつお)、鬱熱(うつねつ)の原因がみられる。


治療原則は、陰虚火旺(いんきょかおう)のときには滋陰降火、湿熱下注のときには清熱利湿、心脾両虚には補益心脾です。


この方の場合には、痩せ型になるので、「腎気虚、脾気虚、気滞、淤血」です。


PCOSは流産しやすいと言われてます。

一度、この方が流産されたときには染色体異常と言われました。


中医学、中国漢方的には、「腎気虚弱、気血不足」から腎の固摂作用が弱く、気血不足による脾の統血作用が弱く、衝任が十分に満たされずに固持できなかったものと考えられる。

無事に出産されて喜ばしいです。


「安胎は未病先防の観点から」


満開のそば畑と蔵王

<2011年9月25日 満開のそば畑と蔵王>

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