○漢方不妊症専門講座・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)…その2
○漢方不妊症専門講座・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の話の続きです。
2)PCOSで自然妊娠
BMI16とやせタイプ 30代
初潮から20歳後半までは生理不定期
その後45日の生理周期で安定、28歳からは周期50日。
多嚢胞性卵巣症候群と診断される。
LHが高い。
経血量が少ない。
BBTは高くない、排卵日前後おりもの少ない。
舌ベロ 胖嫩 、歯痕、尖紅、苔薄白
中間期出血もみられる。
…
<漢方処方の考察>
血流たっぷりの養血調経の漢方薬と補中丸を全周期に服用。
卵胞期にはチャガ、血府逐淤丸、杞菊地黄丸など。
高温期には、参馬補腎丸などの漢方薬で補陽していきます。
PCOSは流産しやすいと考えられているので、高温期に次に人参と冬虫夏草製剤(双料参茸丸)と健脾安神(帰脾湯)で安胎効果を強めました。
「未病先防」の観点からです。
31日目で排卵となり、安胎法で無事にご出産に至った症例です。
BBTが低めのときには桂枝茯苓丸という活血化瘀の漢方薬など。
BBTが高めの場合には水快宝などの活血化瘀の漢方。
痰湿をとる処方には、桂枝茯苓丸にチャガを追加。
排卵期には補腎と補血を中心に少し補陽の処方を。
チャガなどの漢方は、痰湿をとる。
…
<考察>
この方は、
痩せ型(BMI16)
LH>FSH
BBTが低くて卵胞期の体温が安定している。
おりものが少ない。
などがありました。
<南京の周期療法の名医・夏桂成先生の指摘>
PCOSは月経失調、閉経、不妊症にもなる。
腎虚(じんきょ)、脾虚(ひきょ)、肝鬱(かんうつ)、痰湿(たんしつ)、血淤(けつお)、鬱熱(うつねつ)の原因がみられる。
治療原則は、陰虚火旺(いんきょかおう)のときには滋陰降火、湿熱下注のときには清熱利湿、心脾両虚には補益心脾です。
この方の場合には、痩せ型になるので、「腎気虚、脾気虚、気滞、淤血」です。
PCOSは流産しやすいと言われてます。
一度、この方が流産されたときには染色体異常と言われました。
中医学、中国漢方的には、「腎気虚弱、気血不足」から腎の固摂作用が弱く、気血不足による脾の統血作用が弱く、衝任が十分に満たされずに固持できなかったものと考えられる。
無事に出産されて喜ばしいです。
「安胎は未病先防の観点から」
<2011年9月25日 満開のそば畑と蔵王>
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