夏至に二至丹のコラム
夏至の日と聞いて、易経を読んでいるものですからいろいろと考えたりしました。
夏至と冬至で「二至(にし)」
二至丹(にしたん)という漢方薬は夏至の日に採取される旱蓮草(かんれんそう)と女貞子(じょていし)の二味からなります。
漢方薬はシンブルな処方に名方が多く、二至丹も古来から有名です。
旱蓮草は別名、タカサブロウ。
徳川三代将軍家光がお浸しとして好んだという言われがあります。
戦前などは止血剤としてもよく使われていました。
旱蓮草は常用していると頭の白髪が墨のように黒くなってくることから、墨旱蓮とも言われます。
よく向こうの中医の本ではこちらの表現をとることも多いです。
女貞子も旱蓮草と同じく肝腎(かんじん)といって文字通り「肝腎要」を補う補腎陰(ほじんいん)の漢方生薬です。
ネズミモチの実です。
冬のくすんだ大地でも青くイキイキしていることから、別名は冬青子(とうせいし)と言われます。
夏桂成先生の著作を、もちろん和訳の本は出版されていませんので中国語の原文で読んでいたときに、女貞子または冬青子と書かれていまして、突然に脳裏に冬の中国の大地からの底冷えする寒さ、そして街路樹の青い実のイメージが浮かんできました。
ここが漢字の持つ素晴らしさ、日中の文化の共通性ですね。
神町の土屋薬局のお店の前にあるのはモチノキです。
ネズミモチは、葉っぱはモチノキに、実はネズミの糞に似ているからネズミモチとの言われです。
女貞子(じょしていし)は北京の柴松岩先生が早発閉経など、体や卵巣を滋養するための常用生薬です。
常に漢方処方にはかなりの頻度で登場してきます。
山東省の中医医院では漢方プラス体外受精を婦人科で実践して好成績を上げています。
高度生殖医療の前に漢方だけの段階でもかなりの患者さんが妊娠しているそうです。
その中の一つの方剤には二至天癸方(にしてんきほう)があります。
四物湯プラス杞菊地黄丸プラス二至丹プラス冠元顆粒のような処方構成だったと記憶しています。
(婦宝当帰膠をベースにしたら血肉友情の阿膠も入っているし、オリジンPの紫河車製剤も併用したらもっと良いはずと個人的に考えています。そこはストロングな漢方の何少山先生の著作の影響があります)
不妊治療では誘発剤やホルモン剤などて、飲み薬やお注射などで基礎体温が高くなってきますし、齢が30を過ぎてきましたら体が乾燥してきます。
卵子もピチピチでなくなってきます。
つまり卵子が硬くて精子が入りにくいことにつながり、それは中医学では「陰虚(いんきょ)」と認識しています。
まずは補腎、とくに補腎陰、補陰を大事に。
補腎陰(ほじんいん)と補陰(ほいん)は同じ意味です。
「女性は血(けつ)をもって本となす」
の理論にプラス補陰でピチピチに、お肌もしっとり、髪の毛もツヤツヤになれば、女性らしい美しさと生理の状態も改善してきやすくなります。
30代前半はだから効き目が早いです。
40代前後は、その方がもっている親から受け継いだ腎精(じんせい)のもともとの素因、いわゆる若さの体質に今までの養生法。
それを考慮して漢方を考えていきます。
ホルモン値や基礎体温も大切ですが、洋服やお化粧などの女性らしさも、可愛らしい感じもキーポイントになってきて、顔色も大事な条件です。
ということで、夏至の日に、、、と筆を進めたら二至丹の話になりました。
これからは夏至を過ぎますと陰が進んで陽が退いていきます。
夏至に二陰が生じる。
夏至から秋分までは少陰の季節になります。
女貞子(冬青子)を描きました。
タッチペンが調子が悪いので、iPadで人差し指で「手書き」しました。
冬の凜とした中国の雰囲気がでているでしょうか?
…
2017年1月23日追記です。
「冬至に二至丹のコラム」 作成しました!興味がある方はぜひご覧くださいね。
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